民法280条〜地役権

(地役権の内容)
第280条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を

自己の土地の便益に供する権利を有する。

ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するもの

に限る。)に違反しないものでなければならない。

※ 地役権が成立するには、2個の土地が必要

  利益を受ける土地「要役地」

  「要役地」のために使用される土地を「承役地」 
(地役権の付従性)
第281条 地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地

から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に

従たるものとして、その所有権とともに移転し、

又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。

ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

2 地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的と

することができない。

(地役権の不可分性)
第282条 土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地の

ために又はその土地について存する地役権を消滅させることが

できない。

2 土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、

その各部のために又はその各部について存する。

ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、

この限りでない。

(地役権の時効取得)
第283条 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識する

ことができるものに限り、時効によって取得することができる。

第284条 土地の共有者の一人が時効によって地役権を

取得したときは、他の共有者も、これを取得する。

2 共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に

対してしなければ、その効力を生じない。

3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人について

時効の停止の原因があっても、時効は、各共有者のために進行する。

(用水地役権)
第285条 用水地役権の承役地(地役権者以外の者の土地で

あって、要役地の便益に供されるものをいう。以下同じ。)に

おいて、水が要役地及び承役地の需要に比して不足するときは、

その各土地の需要に応じて、まずこれを生活用に供し、その残余を

他の用途に供するものとする。

ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

2 同一の承役地について数個の用水地役権を設定したときは、

後の地役権者は、前の地役権者の水の使用を妨げてはならない。

(承役地の所有者の工作物の設置義務等)
第286条  設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が

自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする

義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人も、

その義務を負担する。

※ 不動産登記法80条

(地役権の登記の登記事項等)
第80条 承役地(民法第285条第1項に規定する承役地をいう。

以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項

は、第59条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 要役地(民法第281条第1項に規定する要役地をいう。

以下この条において同じ。)

二 地役権設定の目的及び範囲

三 民法第281条第1項 ただし書若しくは第285条第1項

ただし書の別段の定め又は同法第286条の定めがあるときは、

その定め

2 前項の登記においては、第59条第4号の規定にかかわらず、

地役権者の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。

3 要役地に所有権の登記がないときは、承役地に

地役権の設定の登記をすることができない。

4 登記官は、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、

要役地について、職権で、法務省令で定める事項を

登記しなければならない。

第287条 承役地の所有者は、いつでも、地役権に必要な

土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し、

これにより前条の義務を免れることができる。

(承役地の所有者の工作物の使用)
第288条 承役地の所有者は、地役権の行使を妨げない範囲内に

おいて、その行使のために承役地の上に設けられた工作物を

使用することができる。

2 前項の場合には、承役地の所有者は、その利益を受ける割合に

応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。

(承役地の時効取得による地役権の消滅)
第289条 承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する

占有をしたときは、地役権は、これによって消滅する。

第290条 前条の規定による地役権の消滅時効は、地役権者が

その権利を行使することによって中断する。

(地役権の消滅時効
第291条 第167条第二項に規定する消滅時効の期間は、

継続的でなく行使される地役権については

最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権については

その行使を妨げる事実が生じた時から起算する。

第292条 要役地が数人の共有に属する場合において、その一人の

ために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、

他の共有者のためにも、その効力を生ずる。

第293条 地役権者がその権利の一部を行使しないときは、

その部分のみが時効によって消滅する。

(共有の性質を有しない入会権)
第294条 共有の性質を有しない入会権については、各地方の慣習に

従うほか、この章の規定を準用する。