行政書士会 業際

【業  務】 行政書士業務関係 建築関係
【他 士 業】 建築士関係 
【他 士 業】 土地家屋調査士関係 

◎ 建築士の業務範囲との疑義(照会)
(昭和50年11月18日 群行発第205号 

日本行政書士連合 会会長宛 群馬県行政書士会会長照会)

みだしのことにつき、次のとおり疑義があるので照会します。
              記
問一 建築士都市計画法(開発行為)

第29条同第43条の許可申請書を作成提出することは

行政書士法違反と考えられるが如何。

問二 建築士が建築確認申請書の依頼を受け関連の道路位置指定が

必要となった場合、書類の作成提出は行政書士法違反と考えられるが

如何。

問三 建築士が建築確認申請書の依頼を受け、

関連のし尿処理浄化槽の許可申請(保健所の許可)の作成提出は

行政書士法違反と考えられるが如何。

問四 土地家屋調査士が市町村農業委員会に現況証明書の

書類作成のうえ、提出し証明書を受領することは

行政書士法違反とならないか。

☆ 建築士の業務範囲との疑義(回答)

(昭和51年3月3日 日行連発第497号 

群馬県行政書士会会長宛 日本行政書士連合会会長回答)

昭和50年11月18日付・群行発第205号により

照会のあった標記のことについて

次のとおり回答します。

問一 建築士都市計画法(開発行為)第29条同第43条の

許可申請書を作成提出することは行政書士法違反と考えられるが

如何。

答一 都市計画法第31条に基づく同法施行規則第18条同19条に

規定された建築士の行う前記質問行為は行政書士法

抵触しないものと解される。

解釈
1.都市計画法第31条及同法施行規則第18条同19条は

一ヘクタール以上の開発区域に関する開発行為の設計者の資格につき

規定されている処であり同法施行規則第19条第一号に

建築士法(昭和25年法律第202号)による一級建築士の資格を

有する者で、宅地開発に関する技術に関して

二年以上の実務の経験を有する者と規定されている処から

この資格のある者については都市計画法第29条及び43条の

手続代行を行うことについて行政書士法に抵触しないものと

解される。(行政書士法第19条本文但し書による。)

2.一方建築士法第1条並びに第2条及び第21条において

建築士の行う業務は建築物の設計及び工事監理ならびに建築工事契約

事務その他建築工事の指導監督、建築物に関する調査又は鑑定及び

建築に関する法令、条例に基づく手続代理と規定されており

前記都市計画法第31条及び同法施行規則第18条同第19条以外に

建築士が都計法第29条及び第43条の手続行為を

認める条文規定はない。

従って建築士が開発行為の申請を行う準拠規定は都計法第31条

及び同法施行規則第18条同第19条以外にない訳で然も

その資格者は同法施行規則第19条第一号に該当する建築士のみで

ありその資格要件を欠く(宅地開発に関する技術に関して二年以上の

経験を有すること)建築士(一級、二級を問わない)が開発行為に

関する書類図書を作成し申請手続を行うことは、

行政書士法違反であると解される。

なお、一ヘクタール未満についての開発行為については、

その設計資格について何等規定されていない処であるが

反面行政書士法第一条にいう本件書類は当然官公署に提出する書類で

あるので、本問申請書類は行政書士固有の業務であると

思料されるところである。
   
然し乍ら既述の通り都市計画法第31条に基づき同法施行規則

第19条に特に都市計画手続を許容した資格要件が述べられている

(一ヘクタール以上につき)処から一ヘクタール未満のものに

ついても本資格要件は適用されるものであり、随って施行規則

第19条に示す要件を具備する建築士都市計画法第29条

第43条の申請行為を行なうことは、何等行政書士法

抵触しないものと解されるが、その他の建築士が当該業務を行うこと

行政書士法第19条により行政書士法に抵触し

行政書士法違反であると解される。

問二 建築士が建築確認申請書の依頼を受け関連の道路位置指定が

必要となった場合、書類の作成提出は行政書士法違反と

考えられるが如何。

答二 建築確認申請と関連して行なうものであれば、

行政書士法に抵触しないものと解される。

参考法文、建築士法第21条。(その他の業務)

第21条 建築士は設計及び工事監理を行う外、建築工事契約に

関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査又は鑑定及び

建築に関する法令又は条例に基づく手続きの代理等の業務を

行なうことができる。

解釈
本問に関する関連の道路位置指定とは、

建築基準法第3章第1節第42条第5号にいう道路位置指定に

関しての設問と考えられるので、これについて回答する。

通常建築と道路とは相関関係にあるものであって、建築確認申請を

行うに当たり通路若しくは道路に面しない場合には建築確認許可は

行なわれないものとなっており、当該建物に至る通路若しくは

道路の巾員等については建築基準法第42条第2項、4項おいて

明示されている処である。

しかし、これ等の道路の指定については本来何等建築に関係なく、

都市計画その他の宅地造成において建築工事着手以前に計画し

造成されおるべきが至当であるが、場合に依っては本問の如く

建築確認申請の依頼を受け、許可申請を行う時点において

道路位置指定の申請を行なわなければならない状況の

生ずることもまたまれでないものである。

随ってかかる場合にあって建築士が建築確認申請に連担して行う処の

道路位置指定の申請に関しては、当初提示の建築法第21条…及び

建築に関する法令は条例に基づく手続の代理業務として許可される

べきものであり、建築に関する法令とは建築基準法をもって

根拠法規と認めざるを得ない。

依って主文のとおり判断する。

但し、以上の判断はあくまで建築確認申請に連担することに

於いてのみ効力を有するものであって、道路位置指定を単独に

申請するにあっては、建築士法第21条…及び建築に関する法令云々

遡及適用は不可と考えられるので貴見のとおり

行政書士法第19条に抵触するものと解される。

問三 建築士が建築確認申請書の依頼を受け、

関連のし尿処理浄化槽の許可申請(保健所の許可)の作成提出は

行政書士法違反と考えられるが如何。

答三 建築士が建築確認申請に附随してし尿処理浄化槽の許可申請

行なうことは行政書士法に抵触しないものと解される。

参考法文
 (1)建築基準法施行令第32同33条
 (2)建築基準法第31条第2項
 (3)建築士法第21条

解釈
建築基準法施行令第32条については、し尿処理浄化槽の構造に

ついて同第33条については、その設計の基準が定められてあるもの

と解され、且つ基準法第31条第2項について便所(し尿浄化槽)の

設置が義務付けられているものであり、これ等は何れも

建築設計分野と云わざるを得ない。

然して斯る設計を行った建築士がその設計に基づき設置の許可を

許認可庁(保健所)に求めることは、建築士業務の一分野であり

建築士法第21条謂う処の建築設計に該当するものであり、

更に申請手続きを行うことは法令条例に基づく手続の代理行為と

解される。

依って主文のとおり判断する。

問四 土地家屋調査士が市町村農業委員会に現況証明書の

書類作成のうえ、提出し証明書を受領することは

行政書士法違反とならないか。

答四 貴見のとおり行政書士法に抵触するものと解される。

参考条文
(1)土地家屋調査士法第2条
(2)行政書士法第19条

解釈

土地家屋調査士法第2条には土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて

不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査、

測量又は申請をすることを業とすると定められている。

然して調査とは、その土地家屋の表示登記を行うに必要な調査であり

例えば地目、地積、種類、構造、床面積、所有者、権利関係等

謂調べることにより表示登記を容易に行える状況に置くための行為を

指すものであり、関連調査と解すべきである。

一方、現況証明願は何等調査を要することなく現況証明願を

提出することにより、市町村農業委員会が自ら調査し、

その事実が証明請求内容と一致する場合に於いて発給されるもので

あり、自らその内容は独立した諸手続きを要するもの言を俟たない。

随って土地家屋調査士法第2条中の調査事項には該当しないものと

解され、即行政書士法第19条に違反するものであると

判断されるので、主文のとおり判断する。